1.近年注目が高まる、はんだボール対策
はんだボール対策への注目が業界全体で高まっている。
当ページではメイコーロボット(LETEHR-α)による低減効果を紹介する。
まず、はんだボールの発生状況について、様々なシチュエーションがあることはあまり知られていない。
はんだボールの発生は、コテ先へのはんだ供給時だけではないのだ。
下記、発生シチュエーションとメイコー解決提案へと続く。
2.はんだボール発生シチュエーション(5例) ※基板のSH(スルーホール)にピンが挿入されている状態
(1)はんだを送る
コテ先への1次はんだ送り時、溶融はんだ内での蒸気爆発
(パッド上でのはんだ送り時も同様)
※メイコー以外の一般的な対策として、「糸はんだへのV溝加工」があるが、この一次はんだ送り時にFLUXが失活する。その影響によりパッド上の接合にリスクが発生することから、メイコーでは提案していない。
(2)はんだを戻す
コテ先からのはんだ戻り時、コテ先ーノズル間でのはんだ表面張力による滴下
(3)コテを当てる
コテ先をワークへ当てる時、コテ先ーパット間のはんだが弾かれる
※メイコー以外の一般的な対策として、「スリーブ式のコテ」の採用があるが、当シチュエーションでは効果は認められない
(4)SH内のブローホール
コテ先でワークを加熱した時、SH内でブローホール発生
※メイコー以外の一般的な対策として、「スリーブ式のコテ」の採用があるが、当シチュエーションでは効果は認められない
(5)コテを逃がす
コテ先がワークから逃げるとき、コテ先ーパット間における表面張力による滴下
※メイコー以外の一般的な対策として、「スリーブ式のコテ」の採用があるが、当シチュエーションでは効果は認められない
まとめ:発生原因は主に3点
(1)蒸気爆発
(2)表面張力
(3)物理的接触
3.メイコーによる低減効果 ~スカラ型コテ式ロボットLETHER-αの場合~
(1)蒸気爆発 に対するメイコーの対策 「熱依存からの脱却」はんだ付け性も追究する温度コントロール
■メイコー以外の一般的なロボットによる対応
業界全体の風潮としてコテ先の温度復帰性を極限まで追求している。
この熱依存は、はんだの温度上昇につながり、蒸気爆発(はんだボール)の発生確率を高めるリスクがある。
□メイコーLETHER-αによる対応
一方、メイコーでは「熱は二の次、三の次」というスタンスであり、熱依存からは脱却している。
それは、糸はんだ内のFLUXの効果(還元力)を主眼においているからである。
なぜなら、FLUXの効果は、加熱により白煙と共に失活してしまい、肝心のはんだ付け性に影響を及ぼす。
この影響を最小限に抑えることにより、蒸気爆発(はんだボール)の低減と生産性を両立している。
(2)表面張力 に対するメイコーの対策 「はんだ切れ性キープ」コテ先の状態に集約されるロボットの総合力
■メイコー以外の一般的なロボットによる対応
構造的・機能的に性能不足なロボットを用いると、コテ先のはんだの状態は常に不安定になる。
つまり、FLUXの効果は薄れ、はんだは酸化が進み、粘性と表面張力は増す。
結果的にコテ先-ノズル間、コテ先-パッド間において、はんだの摘化(落下)によるはんだボールが発生する。
□メイコーLETHER-αによる対応
一方、メイコーロボット(LETHER-α)は、
スカラロボット自体から独自設計されている。
また、専用機ならではの特徴を様々に備えている。
(図1参照)
FLUXの効果(還元力)を主眼においたコンセプトにより、
コテ先のはんだの状態は常に良好になる。
その結果、高レベルの切れ性が維持され、
はんだの表面張力も少なくなり、摘下(落下)も抑えられる。
つまり、ロボットの総合力は、
コテ先(はんだ)の状態に集約されるということである。
(図2参照 ※イメージ)
(3)物理的接触 に対するメイコーの対策 「ワークにやさしく」コテ先をワークにフィットさせるメカ機構
■メイコー以外の一般的なロボットによる対応
コテ先の動作として、エアシリンダーによるピストン構造が多くみられる。(以下、シリンダー式)
つまり基板に対して、ピストンが伸びてコテ先を当てる、その後ピストンが縮む(コテ先を逃がす)というものである。
この構造の問題点は、基板へのダメージ(衝撃)が少なくないことである。
その結果、強い接触(衝撃)により、パッドとコテの間から弾かれてはんだボールとなる。
さらに、基板の反りが大きい場合、はんだボールとダメージはさらに高まる。
□メイコーLETHER-αによる対応
一方、メイコーでは、シリンダー式は採用していない。
空間的に自由なコテ先のアプローチを実現している。
なおかつ、コテ先の先端ヘッドに下記2点の特徴をもたせており、はんだボール抑制をみせている。
①先端ヘッドのジャストタッチメカ機構
図3参照。
端的には、コテ先の付け根の部分がメカ的に可動する。
基板上、コテ先の当たる位置がパッドから離れても、
結果的にパッド(ピン)へ追従してゆく機構となる。
言い換えれば、基板へ接触(衝撃)をやわらげるので、
はんだ弾きの抑制効果となる。
②先端ヘッドのZ軸逃げ機構
図4参照。
上記①に対して、先端ヘッド自体がZ方向(上方向)へ逃げるメカニズムである。
①+②の特徴により、はんだ弾き抑制効果がさらに高まる。
4.最後に(はんだボールの本質)
(1)スリーブ式だけではない
はんだボール対策 = スリーブ式というイメージが先行しているが、コテ式であっても効果はあるし、
スリーブ式でも不利な状況はある。
またV溝加工については、肝心のはんだ付け性を損なうことから、はんだボール云々以前に論外の印象である。
(2)発生率ゼロは目指せない
はんだボールは、いずれの発生原因も自然界における物理的現象の結果である。
その為、発生率ゼロを目指すのは現実的ではない。
(3)マスキングや洗浄
一番シンプルな対策は、基板へのマスキングや洗浄工程の追加であり、メイコーからの提案も可能である。
(4)はんだ付け実験
メイコーによる低減の効果を体感されたいのであれば、はんだ付け実験をお問合せされたい。
(はんだ付け実験は無償対応)